白鷺と目が合う やさしくないですよ  丸田洋渡

白鷺のいる場所、土手や田んぼは、人間の群から少し離れたところ。そこへ来て、ぼーっと過ごす私は、人間に少し疲れているか。「やさしくないですよ」という呟きは、「やさしいね」という言葉への返答。やさしく在ることを求める視線にさらされ過ぎて、たまたま目の合った白鷺にもつい「私はやさしくない」と言い訳してしまう。解決に向かわない呟きに、夏の空の広さ、夏の水辺の清らかさが出口としてひらかれていることで、自我の部屋の窓がひらき、涼しい風が通った。白鷺と目が合う人は、やさしい人だ。それが分かるから余計切ない。

2017年5月18日 tweet「なつのはじまり」より。