汐干狩家族平行四辺形  水野大雅

汐干狩に来た家族四人が、一つ一つの点となり、平行四辺形をかたちづくる。みな、めいめいに、貝をとるのに夢中になっているのだ。誰かが誰かに近づけば、平行四辺形は崩れる。家族とはいえ、違う人間の集まりだ。でも、真四角でもなく、いびつでもなく、どこかで均衡がとれている、そういうものかもしれない。一番近くにいる人と分かり合えない一抹のさみしさをにおわせつつ、汐干狩の季語を据えたことで、季節をたしかに描写した句となった。

今年の、第28回 お~いお茶新俳句大賞 一般の部B大賞作品。