白象とおもふ時雨の山並は  青山茂根

句集『BABYLON』(2011年8月 ふらんす堂)より。
時雨の細かい雨が、もやのように遠くの山々を白くしている。描かれているのは大きな景のはずなのに、繊細さが印象として残る。それは、象が白象だからだろう。これが普通の灰色の象ならば、大きな景のみの句となってしまう気がする。
 
この句集には、たくさんの国での句がおさめられている。白象はタイでは神聖視されていることを意識しているのだろう。凛とした雰囲気のある句だ。
 
句集は1ページ2句組で、2句に高低差のある面白い組み方がされている。