押入れを開けたることも寒がれり   茨木和生

賑やかで明るく、傲慢な寒がり方として読みたい。
ぬくぬくとした閉め切った部屋で、温かいものを飲んだりしているのだろうか。
一緒にいるひと(達)は寒がりで、換気に窓を開けようとすると当然のように怒る。
なんか面白いゲームなかったかなぁと押入れを開けると、
押入れの中の冷たい空気が流れ込んできて、それだけで、キャーキャーと騒いで嫌がる。
「も」に、ですら、という意味をも感じ、部屋の暖かさがより際立ってくる。

『現代俳句文庫 茨木和生句集』(ふらんす堂、1992)より。