世界ぢゆう雨降りしきる苔の恋   西原天気

苔にとっては雨の日こそがいきいきと輝く日である。
そんな、雨の日の苔へ思いを馳せるひと。
それはいつしか自分が苔そのものになるような思いであり、
そして、苔が自分になるような思いでもある。
世界中に降りしきる、という、大掴みで主観的とも言える把握が、
「苔の恋」という下五につながる快感。
メランコリックな場面からのキュートな展開、かつロマンティック、だ。
(なんだかカタカナを重ねて鑑賞したくなった。)

「はがきハイク 第4号」(はがきハイク、2011.5)より。

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