乙女駈けて初電車得しを祝福す   石田波郷

電車に乗り遅れまいと走ってゆく女の子を見送る人。どうやら間に合ったようだ。
「祝福す」という大げさな言葉も、新年のめでたい気持ちだからこそ。
季語「初電車」の、いつもと同じものだけれど新年の心持ちでありがたがる感じそのものとして、
何気ない日常のシーンを、日常になってしまう前のものとしてきらきらと見せている。

『春嵐』(『石田波郷読本』角川書店、2004)より。