雪の句の多き君かな京にも雪  永田淳

「京にも雪」で、このひとが京都にいること、君がそこにはいないことが伝わって、まさに“そこはかとなし”というべき情趣が生まれる。君の雪の句を、ひとつひとつ思い起こしながら、雪景色の京都を歩いてゆくのだろう。

「ふらんす堂通信131」の対談企画、永田淳×佐藤文香から。お互いに挨拶句・挨拶歌をつくるのだけれど、淳さんが俳句、文香さんが短歌を詠んでいるところがキャッチ―で面白い。双子が服をとっかえっこした感じだ。

今号から、わたしも、冒頭ページで「女の俳句」という連載をはじめた。「女性俳句=女が詠んだ俳句」ではなく「女を詠んだ俳句」をあつめて、鑑賞を書いてみよう、という趣向です。案外、そういう切り口って、なかったなあと。今回はズバリ「女」というテーマだったけれど、以後、「少女」「乳房」「結婚」「老い」など、女性の体験するシーンに、いろんな角度からスポットあてたいと思います。ふらんす堂通信は非売品、ふらんす堂友の会に入会すると、季刊で届くようです。