青梅びつしり女と女手をつなぎ   西東三鬼

女同士が手をつないでいる光景は、そんなに珍しくないかもしれない。
手をつないで何をしているか(何をしようとしているか)がこの句から分からないぶん、
オチのあるファンタジーではなくリアリティがあり、それゆえ不思議な句である。
「青梅びつしり」というフレーズは、その生命感ゆえいささか気味が悪い。
この句に作者の思いというものがあるならば、それが強く作者固有のものであるがゆえに、
読者にはよく分からない迫力だけが残るのかもしれない。

神野紗希抽出「『女』二十句」(『ふらんす堂通信 131』2012.1)より。