大寒の背骨は小さき骨の群れ   小林鮎美

例えているわけでもないのに、「小さき骨」が体をめぐる魚のよう。
こちらが勝手に、魚を思うのは、魚もまた骨の群れを抱えたようなものだからだろうか。
世の中には身体を川と見立てる句もあるが、掲句の面白さは、決して例えてはいないところだ。
身が縮こまるような寒さと、背中にひしめく群れのエネルギーの対比がおもしろい。

「ワーカーズ・ダイジェスト」(週刊俳句 252号 2012.2.19)より。