四国とは背伸びの子象風すずし   橋本直

きりっとした文体(型)に、やわらかな内容が、あざやか。
四国はまだまだ途上にあるがこれから大きな象になる可能性がある、と読むより、
単純に四国の形を「背伸びの子象」に見立てていると読んだ。
しかし冷静に日本地図などを見てみると四国は、そんなに「背伸びの子象」の形ではない。
象のアイデンティティであるところの鼻の部分がどこか判別しがたい。
背伸び感は、中央に向けて上下がくびれる形から感じることができるか。足も見える。
四国が子象となると、親象はオーストラリアか。
いやいや理屈っぽく考えるよりも、四国を思うとなぜか「背伸びの子象」が思い浮かぶ楽しさを味わいたい。
「四国」と「背伸びの子象」の出会いが、なんとも優しい愛に満ちていて、ハッピーな句である。
 
『水の星』(「鬼」合同作品集、2011.5)より。
 
 

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