くさむらに少年の服春の坂  飯田龍太

あたたかくなると、やはり寄り道が増える。雪道を友達とはしゃぎながら帰ることもあるが、当たり前だが、春は寒さに震えることなく、遊ぶことができる。春のくさむらは、思った以上に発見が多く、好奇心が旺盛な少年なら、何時間でもそこにいることができるのだろう。
春の坂をのぼっていると、少年の鞄やら服やらが道の隅に置かれてあり、何事かと思うと、少し遠くに少年が突如大声を上げたりするのだ。

『飯田龍太自選自解句集』(講談社 2007年)より。