オートバイ荒野の雲雀弾き出す   上田五千石

「オートバイ」のエンジン音が響いてくるようだ。
雲雀がただ飛び去っていくと詠むのではなく、「弾き出す」と意志のある力強さが楽しい。
自然を愛し寄り添って生きていくような俳句ではなく、
自然を人間の世界にしていく気概のようなものを感じる、勢いのある一句。

『自註現代俳句シリーズ 上田五千石集』(俳人協会、1991)より。