かたつむりコの字に進む民具館  中村堯子

かたつむりの動きが「コ」を描いたと気づくには、少し時間がかかるだろう。もう使われることのなくなった家具が飾られている場所で、その姿を見ていると、時間の概念がわからなくなってくる。かたつむりは、あまり進化した形をしていないだろうから、はるか昔からの時間の流れを感じる象徴的なものに思える。それに対し、短い時間でもう使われなくなったとはいえ、それらを飾る人間の滑稽さが見えてくる。

句集『ショートノウズ・ガー』(角川書店 平成23年)