赤子泣き竹伸び赤子泣き竹伸び  榎本冬一郎

ヘンな句だ。赤子が泣いて、竹が伸びている。わんわん泣いて、ぐんぐん伸びて。

赤子というのは、何を考えているか分からない目をすることがあるので、ときにシュールに思える存在である。その不思議な存在としての赤子の手触りを「竹伸び」と接続することで描き出している。

「俳句研究」昭和54年5月号、特集「榎本冬一郎研究」より。同じ号で「富安風生追悼」も組まれている。