火の鳥やビアガーデンのアルミ椅子   石原明

「火の鳥」とは、神話や伝説に出てくる架空の生き物だ。不死鳥であるとも言われている。
「ビアガーデン」のあの喧騒は、どこか浮世離れした静かさやぽっかり感があり、
伝説の鳥である「火の鳥」との取り合わせは、
どちらも、現実味のない生命力とふわふわとした力強さがあって、あざやか。
「アルミ椅子」に着眼することによって、ふっと現実に戻され、
鈍い銀色の光に、それでもこの世界を楽しんでいることが感じられる。

『ハイド氏の庭』(文學の森、2012.6)より。