晴れに出て木の実はひとつづつ赤し   辻井喬

「木の実」を見て、あえて、「ひとつづつ赤し」ということによって、
木の実がたくさんあることも分かり、また全体としての赤さも伝わってくる。
ひとつずつ数えている人の優しい視線も感じられるようだ。
陽射しがまぶしく、さわやかで乾いた風が通り抜けるような一句。

「銀河渉る」(『玄中の玄 三番町句会撰集』PHPパブリッシング、2009)より。