鬼女の面とれば少年秋の風  岩永佐保

鬼といえば女というのは、もう固定概念といえるほどのイメージだ。ずーっと女だと思っていた相手が、面を取ったら少年だということは、異様に少年のセクシャルさを感じる。女と男の境目がわからないような年齢。歌舞伎の女形も成り立つ色気を感じ取ることができる。秋の風をもってくることで、ドラマティックさを演じることができている。

句集『迦音』(角川書店 平成24年9月)