累々と死の混んでゐる誘蛾灯  下村志津子

ぞっとした。虫の死が溜まってゆくそのものを、冷静に観察している作者の目に。死という動かないものが混むというまるで動くもののように描かれているところに違和感も覚える。累々とと言われることで、より淡々とした作者の感情が見えてくるようだ。

詩客9月21号「白き炎」より