本棚に寄り掛かる癖鬼胡桃  石井薔子

本棚に寄り掛かっている人を想像すると、ちょっとかっこいい。世の中を少し斜めから見ていて、現実と適度な距離を取りつつ、腕なんか組みながら眺めている。「癖」だから、たまたまではなく、そういう性質の人なのだ。大量の本を背にしているので、インテリっぽくも見える。「鬼胡桃」のしわが、脳のしわのようだ。

第一句集『夏の谿』(かぷり、2012年9月)より。