ミスター零⑥

この頃どうも多い意見が、村上ファンにあなた刺されるよ、と。

いやー、たしかに、でもそうは見えないかもしれないけれど、僕、尊敬しているので刺さないでいただきたい、お願いねと。

えーと、先日、ゆーむと遊びました。また少しデカクなったゆーむの腹をパシパシ叩きながら、わー、久しぶりだねこのやろうーって嬉しくて銀座の安バーに飲みに行きました。

ゆーむは僕にとって、ほんと貴重な友達でして、どこが貴重かと言うと、歳が近いので(あ、並ぶと僕のが若く見えます、そこがまた良い)お互い遠慮が無く、二人で飲んでゲスな話ばかりするんであります、なんだか男子に戻ったみたいでこれが楽しい。

ゆーむと飲む時はゲスな話をして久留島くんと飲む時は俳句の話をよくします、これね、両方大事なんです。

ゆーむが東京に居た頃は銀座ライオンなんかで僕がくどくどくどくど「あの女、畜生、バカ野郎」なんて泣き言を言うのをうんうんと聞いてくれたもんです。

仲良く飲んでいると、敦姉から電話が…

「今晩は、三平です」

うわっ、なんて残念なジョークだ、次々に電話を近くの人に替わって遊んでる…、もちろんみんな酔っ払い。

切っちゃお、プツっ

ブーブーブーブー

またかかってきた!

おぉしぶといぜ、敦姉…

こっちも可笑しくなってきて、電話切っちゃえって、またプツっと切ってアハアハ笑ってました。

なんだかみんなの顔も見たくなったのでゆーむと一緒に神保町のいつもの店へ

ハワイか!みたいな熱烈歓迎、なんせみんな酔っ払い。敦姉、うさぎさん、もう陽気で楽しそう。あ~あ~、そんな赤ワインなんか空けちゃって…

酔っ払った敦姉がイタズラというか嫌がらせで「麒麟バーカ」というメールを七通も僕に送っていました、何するんですか…、ほんとにもう。

ゆーむがなにやらパソコンをごそごそ取り出して、僕はてっきり仕事だと思って、おー、記者ってのは忙しんだね、いいよ、やりなよ、と見ていると…

パソコンのデスクトップに新妻のアップ写真が…、ゆーむは賢いんだけどお馬鹿なところもありまして、隣のいちゃいちゃしていたカップルに、ねえねえ可愛いでしょ?とその写真を見せて嬉しそうにしてるじゃないですか…。

バカ野郎、ゆーむバカ野郎とタケシばりの勢いでゆーむの頭をぺしぺし叩きあはあは笑っていました。

えー、華ちゃん、ゆーむは東京でこんなんしてました。あと帰りにラーメン食うって言ってたよ、きっと汁まで飲んだ事でしょう。

その後みんな仲良く泥のように飲んで解散、命がけで電車に乗って帰ったのでした。

良い夜だったね、ゆーむ、また遊びましょ。

えーと、ゆーむファンはともかく敦子ファンのみなさん、どーもすみません、でも刺さないでね、そーは見えないけど、僕、尊敬してるんですよ、ほんとほんと。

なんだっけ?お、そうそう、零さんね、やるよー、やりますよー。

●卯の花にたのしく酌みし昼の酒

零さんどんな人かは謎が多いのですが、随分飲んだ事は確か。卯の花でたのしく酌みますかね、「たのしく」とありますが僕には卯の花がやや「さびしく」響いてきます。鉄線では通過ぎて、鶏頭では力強くて響いてこない。

●大好きな苺ケーキの苺にキス

ちゅ

●小指より小さき湖上の秋の人

「小」という字が小さい人のように見えてきました。

●こんがりと日焼の二重瞼かな

こんがりたる事トーストのごとし!

ナントカ信玄的に

●せつかちにひつきりなしにつづれさせ

つづれさせは蟋蟀ね。生き急ぐ様があわれ、もちろん人もまた…。

●機首ガクとガクと落して夕蜻蛉

最も印象に残る零俳句の一つ。作者名を意識せずに面白い俳句と読むべきなのかもしれないけれど、僕にはなんとも不吉で怖くさえある。人生の恐ろしさまで感じてしまうけれどそれは深読み。

●毛絲あむ人をスケッチ顔を猫にす

可愛く洒落ている俳句、リズムも読みやすい。でもね、これも僕には少し怖い、少し寂しい。

●ひとことを睨みたしなめ毛絲あむ

めっ

●小春日の磨きに磨く車かな

なして二回も磨くって言うんだろ、美しいものはみんな少し哀しい。車を懸命に磨く様が僕には哀しいのかもしれない。

零俳句、僕はやたらと哀しく寂しく読んでしまうけど、そんな必要はないのでただただ面白く読んだって良いかもしれません。色んな人が零俳句について思うがまま語って欲しいなと思います。というより読みたい。

そんじゃまた、ばーい