まむし酒見るかと問へば断らる  曽根富久恵

まむし酒があるのよ、見る?と聞くと、いえいえ結構、と断られた。まむしの姿が気持ち悪いから見たくないのだ。ちょっと変わったシーンで、私もこういうことは体験したことはないけれども、「ああ、あるある」と思う。執しているものを見せようとするとやんわりと断られる、もしくは何かを見せられそうになった、という経験は、まむし酒に限らないからだろう。

『玉子のやうな新車』(2012年9月、角川書店)より。日常のこもごもが一句ずつに書かれているのを、スケッチブックをめくるように読み進めていたところ、中盤でいきなり「蝮二十一句」というくだりがあり、えんえん蝮酒の句が続くので意表をつかれて面白かった。
目を引くタイトルは集中「桜咲く玉子のやうな新車くる」から。「桜」と「玉子」の取り合わせから、中村汀女の「ゆで卵むけばかがやく花曇」を思い出して、「玉子と思ったら、新車かい!」という突っ込みをする楽しみも、また俳句の醍醐味だろう。