四次元はわれらを見つつ萌えてゐる 関悦史

「萌える」とは、下萌という季語もあるように本来は草木が伸びるという意味だが、
スラングとして使われる、対象への強い好意、という意味の方が最近ではよく使われる。
掲句も後者の意味を下敷きにしたものであろう。
というのも、二次元のキャラクターに対して使われることも多いからだ。
四次元の世界から見ると、この三次元の世界は、
不完全であるがゆえの愛おしさがあるのかもしれない。
その背後で、緑が芽吹いている世界が感じられる明るく俯瞰的な一句。

「世界Aの報告書」(『ふらんす堂通信134』ふらんす堂、2012.10)より。