此の道や行く人なしに秋のクレーン   高山れおな

まっすぐに伸びる道とまっすぐに伸びるクレーンの静けさ。
此の道や行く人なしに秋の暮   松尾芭蕉」という句が下敷きになっている。
「秋の暮」だともの悲しさがつのる一方だが(辞世の句だという印象があるせいかもしれない)、
「秋のクレーン」の黄色と韻律が、ただ寂しさだけではなく、からりとした明るさを感じさせ、
人間には行かれないということ自体が尊くなり、人智を超越したものの遊ぶ聖域のように感じられる。

「7 パイク・レッスン」(『俳諧曽我』書肆絵と本、2012.10)より。

話題の句集。装丁(造本)も、中身も衝撃的。皆さま是非手にとって読んでみてください。
・・・とはいえこの本は書店では取り扱っていないそうです。入手方法は著者ツイッターに。