個々つなぐもの餅花の細き枝も  友岡子郷

餅花はかわいいから好きだ。白やピンクの小さな餅が、細い枝にチュッチュッとくっついている。なるほど、その小さな餅ひとつひとつが「個々」であり、細い枝がその「個々」をつないでいるのだと見ることもできる。
「細き枝も」の「も」は、ほかにも「個々つなぐもの」があるということを示している。昨今はやっている「絆」という言葉を使わずに、絆を表現している句だと考えていいだろう。「個々つなぐもの」の一例として、餅花の枝をもちだしてきたところに明るいユーモアがある。「細き」の一語もなかなか憎くて、強固な関係性ではなく、かろうじて結びついている個々の切実なありようを読み取りたくなる。

「俳句」(角川学芸出版)2013年1月号、七句作品「家風」より。