女三界に家なき雪のつもりけり   鈴木真砂女

女は三従といい、幼い時は親に従い、嫁に行っては夫に従い、老いては子に従うものだとされ、
一生、世界のどこにも安住の場所がないという意味で「女三界に家なし」という。
この悲しい言葉に、「雪のつもりけり」という季語を合わせたシンプルな一句。
寒く耐え忍ばなければならない季節。作者である真砂女の人生もまた波乱に満ちたものであった。
白く輝く雪の美しさと、それが積もっていく息苦しさが、フレーズに実感を与えている。

編集部抄出「鈴木真砂女 句セレクション」(『俳句界 2月号』文學の森、2013)より。

角川学芸出版『俳句 2月号』にも、没後10年記念として鈴木真砂女の特集が組まれています。