2013.5.25書肆完侃侃房発行
新鋭短歌シリーズ2
鯨井可菜子歌集『タンジブル』
いやー、夏バテです。暑過ぎる、寝ても寝たような気がせずにウツラウツラと夢見たり覚めたり。
で、朝になるとすごく機嫌が悪いです、なんだかイライラしていて悪い考えばかりが浮かんできます。これはいかん、病気じゃないかしらんと思い、楽しみにしている句会をキャンセルして、半日休みをとり、家でゴロゴロ、煎餅食べたり音楽聴いたりして、ゴロゴロ、これが楽しい、たったの数時間でびっくりするぐらい癒されました。
新婚なんで仲良いですけど、会社が一緒なので一人の時間が完全になくなりました。最近のイライラは、多分一人の時間が欲しくて精神がトゲトゲしくなったんじゃないかなぁと…。
一人になれないなんてのは何て恐ろしい事だろう、なんて事言ったのはロシアの人でしたっけ。
月に一日でいいから夫婦とは言え、孤独の時間を楽しむというのが、お互いにとって良い事だと思いました。僕、18から一人暮らしだから、12年振りぐらいなんでよね、一人じゃなくなるのが、だから、たまに、一人でゴロゴロしなけりゃいけません。
あぁ不安だ、孤独だ、不幸だ、なんてのは口に出してはいけませんが、大事な事ではないでしょうか、人様には告げられない大切な思いを味わうのに、ゴロゴロするのは大切です。病んでいない人はどうも信じられない。
さて、歌集買いました、楽しみにしていたやつです。読んでいきましょう、鯨井さんは僕が知っている(本の中で)数少ない歌人です。ビールとか飲みながら、あぁ辛いなぁという時に開きたい歌集です。
北風に襟をたてつつ横顔の君はわたしのことで泣かない
あえて惚れたい
熱心に新発売の草を食むシマウマっぽく胸をくすぐる
むしろシマウマになりたい、美味しそうに草を食べたい
かっこよく生きる方法思いつめ深夜の無音ヤクルト一気
嫌でもなんでも、なんとか生きていかないといけません、たまには良い事がある
新人賞落選の日の焼魚定食の鯖穏やかなりき
怒り悲しみ飲んで寝る、そういうのも大事、胃薬は友達。
風光る夏の画塾よ弟がスケッチブックを見せてくれない
男の子には秘密があーるの
めそめそと暮らせば部屋は蛾に好かれ桔梗は枯れて茄子は腐った
辛いは哀しくて少し面白い
ばかを乗せ飛び立つ機体朝焼けってばかのひとみにうつくしすぎる
好きだぜ、ばか
エスカルゴぐらぐら熱し食べ方を教えてうれしそうなあなたと
すごーく美味しいわけでもないけど、エスカルゴ。
くらやみに浮かぶ画面よ千件の未読メールがわたしを責める
あぁ生きにくい。ケータイはポイしたいけど絶対できぬもの
泣きながら筋肉少女隊(知ってるかな?)を聴いていたのが八年前ぐらいかなぁ、あんなに聴いてたのに、生活が苦しくて売ってしまい、小銭をもらい何かパンをかじりながら町田をクラクラ歩いていました。あと手塚先生の漫画を売って味噌と米買ったなぁとか、そんな事を思い出しました。
とにかく生きていかないといけません
とても良い歌集なので皆さんぜひ買ってください。たびたび読み返すと思います。
じゃ
ばーい