不思議な虹を皆で見る⑥

2015.4.30 書肆山田刊行 冬野虹作品集成 第1巻より

先日、四ツ谷さんが冬野虹さんの詩を朗読されるところを見る機会がありまして、愛だね、と玉置浩二みたいなことを家に帰ってA子と言ってました。ここには書けない面白いことがたくさんあって、隣の鴇田さんと、寝るのがもったいないですねぇ、忘れちゃうのがもったいないなぁ、なんて八海山を飲みながら楽しませていただきました。

その時言わなかったけど、僕が一番好きな虹さんの詩は「ぺろーん」です。あと「髪を梳いていた」とかも。

では俳句の続きです。

こほろぎが洗面台にころんでゐる

ころんでゐるこほろぎ。

菊の香や砂金のはなしそれっきり

そう言えば。菊の香から砂金の流れが涼しい。

薄暑の手ふらふら振ってもうゐない

ふらふらと手だけが見えて。居なくなってしまった感じ。

虹かかる汗かき祖母の手足かな

人生に、虹はかかる。

そよぎいる手足の秋を見送りぬ

行ってしまうのが秋。

冬至の風びっくり顔の幼女かな

ちゃんと、びっくりを。

主よわたしアイススケートでまゐる

スマートに。

ゆふぐれの庭師を叱り法隆寺

にわしをしかりほうりゅうじ、と耳から入ってくる。

考へるまにこくりこのひとつ咲く

こくりこくりこひとつ咲く。

しろながすくじら薔薇色もどる空

しろながすくじらは空に、心に。

ゆふぐれは葉書のやうに来たりけり

ゆふぐれはその短さが良い。

うーんうーんサンドイッチの春卵

鳥になった気分で。春が明るい。

スポンジのやうに苦しむ白牡丹

大きくやはらかにふくらんで。牡丹かなでなくて、もちろん白牡丹。

橇にのってわれもゆきたし樹の音降る

冒険は素敵なほど良い。

さて、ゆるゆるとまだまだ。

じゃ

ばーい