蟻にまみれているところ

2016.3.1 株式会社編集工房ノア刊行
小池正博句集『転校生は蟻まみれ』

観光地で働いているので、仕事中でも仕事帰りでも外国の方に道を聞かれたりすることが多いです。

数年前と異なることは、英語だけじゃなくて、中国語、韓国語、ロシア語、スペイン語、イタリア語等でいきなり話しかけられることが増えてきました。

いやいや、いやいや、ごめんけど、わかりません。

コンニチワー、ぐらいまでは言って欲しいなと思っています。

小池正博さんの句集『転校生は蟻まみれ』を読んでいきます。

瓶を倒す匈奴が攻めてくる

強力な匈奴。

コロボックルを縛ったりしてどうするの

コロボックルに愛を。

上皇の頭の中は草競馬

お好きなの、草競馬。

北山に誇りを捨てた二老人

生き延びたもん勝ち。

六波羅はここだと目のきつい少年

牛若。

雨だれは六十年の人みしり

ほどほど静かに生きていたい。

煉獄へ鮭は帰ってくるはずだ

それでも帰ってくるはずの。

戦争に線がいろいろありまして

大人の事情、こわい、嫌な事情。

ますます白くなってゆく暴力装置

透明ではなく、真っ白な意識。

言い訳はするな山椒魚を食う

食べていいのかわからないけど、食う。

老人の砂場デビューに青い鮫

狂気は砂場にこそ。

都合よく転校生は蟻まみれ

さぁ、どうでるか。

海賊が仕返しに来る梅のころ

やつらは梅のころに来る。

悪霊と滝を見るのは愉快だね

日常に、少し飽きて。

君がよければ川の話をはじめよう

長いよ。

このたびはぶっちぎりの更迭でした

西へ、もっと西へ。

妖かしを連れてきたのは実の姉

連れてきちゃった。

地下鉄で飴をなめれば年をとる

黒飴常備。

坊や天保銭をあげようか

もらおうか。

ほたて貝から天が生まれる

明るい、天。

神さびの森に尿意は谺する

早足で。

逗子まで明るい妖怪ついてくる

結構遠く来たものだ。

遊びに来たんかと泥人形晴れ晴れ

遊びをしよう、泥人形と。

じゃ

ばーい