昭和32.8.10 岩波書店刊行
『露伴全集』第三十二巻 より。
我が家の本棚には、『露伴全集』『漱石全集』『紅葉全集』『荷風全集』『吉川英治全集』が一冊づつある。もちろん俳句、川柳が載っている巻を選んで購入しました。
全部買ったら素敵だけど、床が抜けるのが怖い、ここ一応二階だし。とりあえず俳句の巻さえ身近にあれば、残りは図書館で済ませたい。
『虚子全集』『誓子全集』『龍太全集』は揃っているけど、実は『子規全集』が欲しいなぁと思っている。買っても良いのなら『素十全集』や『立子全集』だって欲しい。
もっと言えば俳句以外にも『谷崎全集』や『鏡花全集』とか欲しいなぁと思っている。あと画集等欲しいものはたくさんある。
いやいや、僕なんか全然俳句の本持ってない方だよ、橋本さん家とかきっとすごいよ、本だらけだよ、だから、○○全句集、買っても良いでしょ?ねぇねぇ、と妻に話かけるけれど、なかなか、買ってはもらえない。
本は買うより置くことが難しい…。定期的に泣きそうな顔で本や雑誌を売ったり捨てたりするけど、本当は全て側に置いておきたい。
『露伴全集』の俳句を読んでいきます。この全集は『蝸牛庵句集』に新発見の俳句等を足して読めるありがたーい全集です。
さて、読んでいきましょう。
前髪をきられて寒きわかれかな
すっきり。スースーします。
吹く風の一筋見ゆる枯野かな
意思のような一筋の風。
風流の細水(ほそみ)になくや瘦蛙
郁乎さんの『江戸櫻』以降の作り方は露伴の栄養をたっぷり吸っているように見えます。評論にたびたび露伴が出てきますしね。
繪の島の繪にもかき得んや魚の味
江の島丼ってのがあって美味しいんですが、あ、あれは魚じゃなくて貝だっけな。
波さかまいてしらぎく黄ぎくみだれ菊
それぞれに妖しく、激しく。若冲の菊の絵をずっと眺めていると、美しいというよりもぞくぞくしてきて怖い、そういう美もある。
ふりそでの模様か波のくるひ菊
開花後様々な変化を見せる狂い菊。くるくるくるひ菊。
小男のナンバに寒し水の音
難波ならではの味わい。
酒五合寝てすむものを大晦日
郁乎さんお気に入りの露伴の句。個人的には四合まではペロッといけるけど、そこから先は体に水のようにするする入ってきて危ない。
長き日を勿體なくも欠伸かな
「あくび指南」って落語があるんですが、そんな勿體なくて楽しい日。
風流を忘れし頃やほととぎす
あ、思い出した、風流。
偉大な露伴、なかなか全集の隅々まで熟読できませんが、いつかは、いつかはやりたい。
とりあえず今は俳句を。
じゃ
ばーい