昭和32.8.10 岩波書店刊行
『露伴全集』第三十二巻 より。
会ったことがある人は知っていると思うけれど、僕の髪はもじゃもじゃしています。量が多く太く強い癖毛です。美容師さんが皆苦戦しながら僕の髪を刈るので、申し訳なくますます髪を切りに行きたくない。
最近発見があり、ニット帽を一時間ぐらいかぶっていると、あら不思議、髪の毛がまっすぐに、そう、クネクネしないのだ。会社ではストパーでもかけたの?と言われるように。まだまだ髪の毛を切りに行かなくてもいいなと喜んでいます。
さ、露伴を読みましょう。
筆すてた手を手で握る寒さかな
「天女の圖に」と前書あり。おぉ寒い。露伴の「寒さかな」はしみじみと寒い。
としここにあらたまつたりおりやどうぢや
「元旦にはじめて摩訶僧祇律を読みて」と前書あり。なんというか、気合のある句です。昔は良かった、とはあまり言いたくないけれど、昔の人は元気だ、とはたまに思う、いや、よく思う。
墨染の我も笑はむはなの春
「僧十二ヶ月」より。一月。心がすっきりしている。これ全部で十二句あるので、読みたい人は調べて下さい。
ほろほろと椿落つるや大般若
二月。修行修行の二月。
意久地無う坐禅くづるる日永かな
三月。そろそろ辛僧。
きたままで衣あらはむ夏の雨
六月。気持ち良さ僧。
やあもみぢ一切経のわすれもの
九月。軽僧。ヘイ紅葉、ぐらいの。
山寺の仁王たぢろぐ吹雪かな
十一月。寒僧。
せつぶんや肩すぼめ行く行脚僧
十二月。とぼとぼ感。ぜひ調べて十二句続けて読んで下さい、大人の遊びです。
続いて「二十四時」から。全部で八句ですが、いくつかを。
花売を繪にもかかばや春の雨
午前八時。春の雨の気だるさ明るさが良い。
馬酔木咲く野にくたびれて煙草かな
午後四時。くたくた感が良い。
乞食のころりと寝たり花の蔭
午後十時。いや、22時は寒いよ。絶対楽しくないはずだけど、この句は少し楽しそうにも見える。この連作もぜひ全八句読んで欲しいなと。
じゃ
ばーい