昭和32.8.10 岩波書店刊行
『露伴全集』第三十二巻 より。
先日、敦子さんの誕生日祝いがあり、直さんが金箔入りの焼酎を持参されていて、これが実に美味でした。
泥のように意識が遠のく中、あはあは言いながらコップの中に、金箔入れ金箔入れとがばがば入れては飲みました。
酔っ払いというものは、ゆらゆら動くものが好きなのです。
あれは美味しかったなぁ、と翌日死ぬような二日酔いの中で思い出しました。
さ、露伴の続きを読みましょう。
手盛りして飯食ふ宿やほととぎす
飯食ふ宿っていいなぁと。「飯」も「宿」も好きな言葉。旅らしい。
乞食僧(こつじき)の鈴(れい)の音たるむ暑さかな
暑い。音が妙に美しい句。
天堂の絨毯に住め蚤虱
教会にも居る蚤虱。
草鞋(わらうづ)の右を左に穿きかへて
退屈もまた楽しい。
なでしこや夏草滋る夢の跡
「夏草や」の句が可憐に生まれ変わりました。この上五は魅力的。
波間からぴんと出たり浦の玉兎(つき)
ぴんと玉兎(つき)。露伴の俳句は言葉が美しい。
涼しさや会話(はなし)吹き消す沖の風
最後に、涼しさやぁ、と気持ちよくなる句。
三景の夢に飽かうぞ竹むしろ
あとはごろごろしていたい。
じゃ
ばーい