東野大八著、田辺聖子監修・編集『川柳の群像』(集英社、2004)
『川柳の群像』を読む
こんにちは、日曜のお昼に『ゾンビランド』を一人で観ながらビールを飲んでる麒麟です。あぁ楽しい、嘘じゃないよ、あぁ楽しい。
・・・楽しい事、ないかな、という事でちょっと今回は川柳を読んでみましょう、これがね、僕にとってまったく未知の領域なので、新鮮で楽しい、『ゾンビランド』も楽しかったけど(くどいね、ごめんなさい)。
何となく手に取ったのに、これはどうも面白いぞ、読んどかないと非常にマズイぞ、という本にたまに出合います、今回紹介する東野大八著、田辺聖子監修・編集の『川柳の偶像』もまさしくそうです、この本は表紙に書いてある通り明治・大正・昭和の川柳作家100人の文章と句を紹介していく良き川柳入門書です。
ここは赤裸々なきりんの部屋、先ずみんなを安心させ同時にがっかりさせる発言をしますが、僕は川柳、短歌にはかなり疎く何にも知りません、ただね、非常に興味はあるんですよ、だからそう嫌な顔をせずこの本一緒に読んでいきましょうよ。
この本を真面目に読んだら、どうもこりゃ川柳も読まなきゃいかんのじゃないの、と思うのではないでしょうか?
誤解しちゃいけませんが、俳句とどっちが優れてる、とか言う話は野暮です、もっと、読むと言う行為は楽しいものであるべきかなと。
さ、そろそろ読んでいきましょ
金魚鉢かきまはしたい気にもなり 浅井五葉
金魚に罪はないけれど
啄木祭に
ああ僕も汽車を下りしにゆくところなし 麻生路郎
カッコいいなぁ、マントとか着けて言ってみたい。別に酔っ払って終電がないという句ではない、現代の川柳は笑いの他にこういうカッコいい句もあるのです。
鶴の姿の明方になつている 阿部佐保蘭
あぁまた朝が来たわ、という感じが伝わってきます、大胆な比喩ですね。
天と地のはざまにふはり生かされて 尼緑之助(ろくのすけ)
ふはりに命の楽しさもあっけなさも出てますね
文科出の現実の世に遠ざかり 安藤幻怪坊
役に立たない奴はカッコいいと誤った幻想を抱いて文系に進みましたが、ほんとに役に立たない立派じゃない社会人になってしまいました。
飛びついて手を握りたい人ばかり 井上剣花坊
きりん「一万、いや五千円で良いんだ」とか無心してるわけではない。
全然関係無いけど最近出た新潮文庫の藤澤清造著『根津権現裏』を今読んでますが、良いよ!
鶯が死んで娘も死にたがり 今井卯木(うぼく)
これぐらい可憐な娘さんが良い。最近実家で父から「女は足腰じゃ、顔はええ、足腰じゃ」と言われましたが、僕だってね、可愛い子のが好きじゃわ。
酒ほしく無くなり人生もこれまでか 大井正夫
カッコいい!僕もこれぐらい言えるようになりたいもんです、最近やや酒に弱くなったのか、二日酔いが地獄のようで、もう酒はよそう、といつも思うけど、夜には飲んでるんですよね。ウコン大事
粋人の俺と無粋の彼との差 大嶋濤明
この自信が面白くカッコ良い、俺が効いてますね。
照る日曇る日女房の顔を見る 小川静観堂
吉瀬美智子が毎朝味噌汁を作ってくれるなら色んな事を改心しても良い
俺が死んでも泣く奴居るまいいい気味だ 小川静観堂
こんな寂しがりの男もまた良い味が出ていますね、寂しさと荒っぽさが良い。
傷は浅いぞといい友がいてくれる 奥田白虎
いい友という表現が良いですね、本宮弘(サラリーマン金太郎のね)の漫画に出てくるような熱い友情。
ガム噛んでいても助ッ人ホームラン 片岡つとむ
うーん、助っ人の感じがよく出てますね、明るくて良い句です、覚えちゃいますね。
考えるうちにジャンジャン株上る 金泉萬楽(かないずみまんらく)
ね、頼むよ、こんな時代にならないかな
石段はこうして上がるハイヒール 金泉萬楽
キッと強そうな女性をイメージしました、強そうで、美人。
冬の女ひと冬ごとに母に似る 川上三太郎
冬の女、という一つの短編小説が書けそうなぐらい色々想像がきく句です。
鴉ひよこりひよつこり寒いなあ日本海 川上三太郎
おぉ自在!ひよつこりひよつこりじゃないんですよ、下五が日本海でこんな風にもいけるんですね、とても魅力的な句
夜具を敷く事が此の世の果てに似つ 川上日車
しんしんと夜具を敷く様が色々と思わせますね。
ことさらに雪は女の髪へ来る 岸本水府
美しい黒髪が見えます、深水の美人画のように美しい句、そしてこの場合は小雪が良い。
どうでしょ、この本が一冊あるだけで、何度も楽しめます。
あと何回かに分けて読んで行こうと思ってます。
ね、どうしましょ、非常に面白いんですよ。