東野大八著、田辺聖子監修・編集『川柳の群像』(集英社、2004)
『川柳の群像』を読む
こんにちは、8月生まれだけど夏が一番苦手なきりんです、暑くて暑くてね、ビールと麺類ばっかり口にして元気なんか出ません、せめて少しでも笑いたい、という事で川柳の三回目やります、ここはきりんの部屋、僕がやりたい事をやるんだい!
それじゃあ、面白い川柳、出てこいやー
五十九歳これから川へ洗濯に 小出智子
もうすぐ還暦ですね、と言われて、へっへと答えるようなおじさんになりたい。
僕の周りの俳人はやたらと食べて飲んで集まって遊んで、とても楽しそう。
この句を見ると川柳もきっとタフな世界なのでしょう。
元気が一番よ。
失敗でふくらんでゆく雪だるま 小出智子
可愛らしい鼠に描いてやりましょう
ほっとした処に置いてあるみかん
どれもなんて可愛いんでしょう!もっとたくさんの句を読みたいなぁ。
個人的には鼠が一番可愛くて好き。
あやまって夫婦となりしこと愉し 河野春三(はるぞう)
愉しいですよ、誰かあやまってくれんかなもし
この道やよしや黄泉に通ふとも(辞世) 小島六厘坊
本物の男前は最後に出る
馬鹿だつた記憶をたどる朝のお茶 小林不浪人
濃いお茶でね、しみじみとね。
考えがこんがらがつて雨を行く 小林不浪人
雨の中や雨へ行くでも台無し、雨を行くの男前加減と言ったらもうあなた。
おみくじにおまへはばかとかいてなし 近藤飴ン坊(あめんぼう)
だからと言って何しても良いわけじゃないのよ
十二時に腹のへらない怠け者 近藤飴ン坊
早弁ほど可愛らしい仕草があるかいな?
母がないからと言はさぬために金 斎藤松窓(しょうそう)
黙って無理してお金を出すのも愛、昔母からくしゃくしゃの五千円札が送られてきて、涙ぐみながらレバニラ定食を食べたなぁ。
お前ほどの美しさがある我が娘 斎藤松窓
燗(つ)けませうかと娘がいいし鮎のすし
二十二になった娘をうち眺め
きりん55歳「どいつもこいつも・・・だいたい俳句ってもんが、むにゃむにゃ、バカヤロー」
きりん愛娘「あらあら、飲み過ぎたのね、やだわ父さんたら」
と、言いながら水を持ってきてくれる娘が欲しい
ラブレター書かぬ息子をはがゆがり 笹本英子
もどかしいと思う母の気持ち、そういや書いた事ないなぁ、一生書かないんだろうな・・・。
真夜中に酒さめ果てていた孤独 佐藤正敏
ほんとに辛い時は一人で飲むのですが、なかなか酔えないし、夜中に酒が切れたり抜けたりするとすごく寂しいんもんです。男は孤独じゃなきゃいけねぇ。
単純に生きられる顔ガムを噛み 佐藤正敏
風船なんかふくらませてさ
夢の中の自分の悪が小気味よし 佐藤正敏
大概の人は大暴れしたいと思っても、結局できないもの、それも少し寂しい。
ひとすじの春は障子の破れから 三条東洋樹(とよき)
綺麗ですね、やはらかな春の光が見えるようです、ひとすじの、という表現が素晴らしいですね。
欲得もなしに大きな欠伸する 三条東洋樹
欠伸でもするしかないやね
底のないポケットなのさ稼いでも 清水白柳(はくりゅう)
男はせこせこ貯めてはいけねぇ、だからK野さん、「貯金してる?」って真顔で聞かないで。
男は今日を生きねばならねえ。
甘えないので逆のこと言ってみた 清水白柳
男はあんまり好き好き言ってはならねぇ、そんなのにロクなの居ないよ、良いな、この句、モテル句だなぁ。
けなげにも家主の犬を噛んできた 須崎豆秋(とうしゅう)
けなげ、どんなに間違ってても自分の見方でいてくれる存在は可愛い。
関係ないけど昔墓場で野犬(僕が小さい頃にはまだ居ました)を連れて帰って飼った経験があります。
院長があかん言うてる独逸語で 須崎豆秋
短冊のけいこでもして死を待とう
笑い事じゃないどん底も笑えるような、僕は俳句も川柳も逆境に強い文芸だと思います。
俳句でも作らないとね、こんなせちがらい世の中やってけないよ、と毎日毎日電車に揺られながら思ってます。川柳の世界でもそんな方多いのじゃないかな。
今回挙げた句も川柳の世界ではみんな常識として知られている句、それなのに僕にとっては初めての句ばかりです、世の中まだまだ面白い事がたくさん。
そいじゃまた!