1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より。
今住んでいる町は桜が綺麗で、何より人が少ないところが気に入っています。東京で桜を見ようとすると、あまりの人の多さに調子が悪くなりそうで…。
隣駅であかりさんと待ち合わせして、A子とあかりさんと僕の三人で、ぶらぶらと夜桜を見ながら一駅分を歩く。僕の手にはビール、A子の手には小ビール、あかりさんの手にはトマトジュースが。
楽しそうでしょ?楽しいんですよ。
やがて直さん夫婦と合流し、五人でお決まりのカレー屋で飲み会。この頃一番気に入っている会、その名もご近所会(ひたすら飲み、食べる)も、はや五回目となりました。ちなみに五回中、四回はこのカレー屋です。
楽しそうでしょ?楽しいんですよ。
桜吹雪を見ていたら、石鼎が急に読みたくなりました、『原石鼎全句集』をゆっくりと読んでいきたいと思います。最初の方は知っている句ばかりかもしれませんが、ゆるゆるお付き合いしていただけたら嬉しいです。
頂上や殊に野菊の吹かれ居り
孤高感。永田耕衣になぜ「居る」にしなかったとの発言がありますが、それぞれの違いが面白い。ちなみに僕は「居り」派。
鹿垣の門鎖(とざ)し居る男かな
おそらく無口。
山川に高浪も見し野分かな
美しいおっとりとした詩歌の中の自然ではなく、石鼎のはもっとリアルな自然。
鉞(まさかり)に裂く木ねばしや鵙の声
ねばしっ。
蜂の巣を燃す夜のあり谷向ひ
たまに人の姿を見たら。
山畑に月すさまじくなりにけり
コンビニとかは絶対無いところ。
朴の木に低くとまりぬ青鷹(もろかへり)
不敵な感じが良い。石鼎のようで良い。
山国の闇恐ろしき追儺かな
真っ暗。
山国の闇すさまじや猫の恋
本当に真っ暗。
風呂の戸にせまりて谷の朧かな
一日二日は良いけれど、住むにはすごそうな場所。
昔、お金を節約しようと思って小諸で野宿をしたんですが、最初は闇や星が綺麗で楽しかったんですが、やはりだんだんと寂しくなったことを思い出しました。
石鼎はどんな風に夜を過ごしていたのかなぁと。
ゆっくりと読んでいきましょう。
じゃ
ばーい