1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より。
今年一番嬉しかったのはマザー牧場で気がすむまで牛を触れたことかもしれません。
最近嬉しかったのは近所の金物屋さんに可愛い猫を発見したこと。好きなだけ触らせてくれて、何と良い猫なんだと、それ以来、時々猫居ないかなぁと探してしまいます。
動物に触ると疲れがどんどん抜けていきます。
あーよしよし、なんて可愛いんだ、あーよしよし、と心の底から楽しそうな顔をします。多分僕が最も機嫌が良い時は、動物を触っている時だと思います。
朝、地獄のような小田急線に乗り、外人さんしか居ないんじゃないかと言うような観光地でくたくたに働き、また地獄のような小田急線に乗って帰ってきます。それはそれは機嫌の悪い顔をして、あぁ人間なんて嫌だ嫌だと、苦い顔をしています。
猫でも飼えば良いじゃないか、とよく言われますが、猫、家に置いていくのが可哀想だし、病気にでもなったら会社なんか行かなくなってしまいそうなので、飼わずに我慢して、野良猫を見つけては、おーよしよし、と撫でる日々です。
あぁ、猫を、心の中に猫を飼おう。
えーっと、石鼎の続きです。
日輪をめぐる地球になめくぢり
地球にはなめくぢり。
コレラ人(びと)よき衣を着てやかれけり
ちょっと昔にはそういう時代が。
日中や深きより浮く鯰の子
やぁ、僕鯰。
二つ買うて夫婦としたり金魚玉
末長く。
高々と薄き黄色や葉鶏頭
「薄き」がリアル。
月に出て谷に落すや栗の皮
どこまでも行く栗の皮。
鳥獣見よと野糞す秋の山
すな。
山中に低き丘ある野菊かな
石鼎の句は野菊感がすごい。
とうとうと昼餉の柝(たく)や寺の秋
飯飯。
二階人何か捨てたる夜長かな
二階人のことが気になる。そう言えばつげ義春に「李さん一家」というのがありましたね。
庵の灯のとどく限りや露の庭
夏は暑くて冬は寒そうな場所。
青き葉をはさみて強し柿ばさみ
強し、柿ばさみ。
じっくり見るとあれっていう名句や変なの、っていう句やらがあちこちにあります。面白くて全然ページが進まないけど、大丈夫かな…。
じゃ
ばーい