素敵な石鼎⑧

1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より。

ベランダで鉄線を育てています。鉄線は二年目になるけれど今年もちゃんと花が咲いてくれました。

元気かなぁと思って時々ベランダを覗くんですが、風の強い日に鉢ごと倒れていることがあり、そんな時は顔面蒼白になり、うわああ、と叫びながら助けに行きます。大丈夫だよ、大丈夫だよ、と言いながら鉄線の介抱をします。

花を育てるというのは難しいものです。

最近、何も植えてない鉢から草が生え始めました。なんだか可愛くなってきて、ひそかに水をあげています。草も、なかなか面白い。

では石鼎の続きからです。

椿より蝙蝠出てて暮春かな

変な句。椿で蝙蝠で、暮春って。名句とは違うけど、なんだか気になる句です。

門前の土に薔薇散りしとばかりの記憶にて

ばらばらの薔薇が。

竈冷えて蠅爽やかに遊びけり

蠅元気。爽やかに、が妙。

日やけ百姓はちまきとつてもどりけり

毎日あっつい。

石の上に滝ただ落ちて秋の暮

水現れてただ落ちて。秋の暮がはまり過ぎていてかえって面白い。

鹿二つ立ちて淡しや月の丘

美しい鹿と鹿。

秋天をとんで光りし蟷螂かな

ひらひらと。これも秋天と蟷螂で、良いか悪いかよりも、自由だなと。

大根今悉くなき畑かな

抜きましたから。

闇汁をいつまですする男かな

星三つ!!

春月を包みて雲や動き居り

じわじわっと。下五が妙で面白い。

足投げ出せば足我前や春の海

それはそうだけれど言われると、ちょっと面白い。

名句というよりも、なんだか妙な俳句が増えてきました。僕はなんだかその妙な味も捨て難い気がします。まだまだ続きます。

じゃ

ばーい