素敵な石鼎⑨

1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より。

陸奥守吉行(刀)が観たくて龍馬展に行ってきました。

武具や刀を観てもほほーっと思うだけで見比べたりは全く出来ないのですが、好きでよく観に行っています。

昔村上さんが、刀剣武具の類は人殺しの道具であるから観ない、と言っていたのを時々思い出します。

そうなんだけど、そうなんだけどなぁと思いつつ、今日も別の刀を観に資料館へ行く予定。

ただ最近刀が若い女性の間で流行っているらしく、混むのと静かに観ることが難しくなってきた気がします。地方の博物館等で、しーんとした無音の中、刀身だけを見つめる、あのひりひりするような感じが好きなんですけど、良いものは皆観たいのだから、なかなか難しい。

石鼎の続きを。

春鹿の眉あるごとく人を見し

久しぶりの有名句。鹿くん。

そのなかに角なき鹿のおぼろかな

鹿は鹿の国へ。

陽炎や一葉の草にのぼりけり

影のような、煙のような。

大籠に引ずりいれし幟かな

何でも入る。

でで虫の腸寒き月夜かな

冷え冷えの中身。魚等でないところが不思議なところ。

見つめ居れば明るうなりぬ蝸牛

明るい狂気。

夏帽や我を憎む人憎まぬ人

人の世はなんと面倒な。

庭闇へ去る時白し蛾のつばさ

鮮やかな白。「つばさ」の表記が明るく浮かんで見える。

遠山の低く沈める花野かな

あの辺り。

秋晴の滝玲瓏と落ちにけり

秋の空気と、水の白さと。

たまにすごい句があります。石鼎全句集、それを見つけるのが楽しい。

じゃ

ばーい