1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より
雲雀が空高く上っていく、揚雲雀ってやつを見に行きました。雲雀は千葉(妻の実家)にはもりもり居ます。ちなみに雲雀を見に公園に行ったら雉子が居ました、千葉はすごいところなのです。千葉県はほんの一部に人間が住んでいて、残りは全部野生動物の宝庫なんじゃないかと思っています。
僕は今神奈川県に住んでいますが、神奈川県もほんの一部の街に人間が住んでいるだけです。
朝五時に得体の知れない生き物の声がしたかと思うと窓の外にオナガが群れをなしていました、あれはとんでもない声です。
ほととぎすが直さん家(ご近所)の方角から聞こえてくる季節になりました、夏でありんす。
では石鼎の続きを。
此村に鵙二つゐてなきにけり
激しいのが二つ。小さくて強い。
蔵と蔵にはさまる川や黒蜻蛉
黒の一字が気になる。
電車下りしはわれひとりなり冬曇
なんだか不安な。
撃たれ落つ鳥美しや日の枯木
下五が山枯木の方をよく見る句です。最初は日の枯木だったんですね。
蒲団敷く尻当りたる襖かな
ごつん。なんということもないけれど、ちょっと可笑しい。
大布団かつぎ出て干す落葉かな
古くて、でかい。
菊に立ちてつまらなくなりし一人かな
いつもなんだか寂しい。
戸の口にすりつぱ赤し雁の秋
すりつぱ。
蔓見せて葛恐ろしや山夕立
ちょっとしたものが、すごく怖い。豊かな想像力は才能であるけど、生きにくいだろうなと。
どろあそびねえやが蝶を捕つてきた
蝶とねえや、僕と泥。
どろあそび椿の花もうめてみる
泥最強。
蛤の殻で輪を書くどろあそび
泥最高。
どろあそび、なんだか気になる連作です、ほんとは五句あります、ぜひ読んでみて下さい。
では今日はこんなところで。
ばーい