素敵な石鼎15

1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より。

幼い頃入院を繰り返していたのと、親が帰って来る夕方まではいつも一人だったせいか、留守番が大好きでした。

しかしながら、大人になり、結婚したりすると、なかなか留守番の機会はなくなります。

留守番とは、どの部屋のどこで何をしていようと、誰も見ていないという、夢のような自由の時間です。
留守番をすると、スーッとあらゆるストレスが抜けていきます。大人と言えど、月に一回ぐらいは、お留守番をして、世の中のストレスから離れるのが良いのかもしれません。

ちなみに妻はお神輿を担ぎに出かけています。僕はまだ一歩も外に出ていません。よき、休日です。

では、石鼎の続きを。

大雪のつかのま干せし蒲団かな

ちょっとは干したい。

昭和6年

ちかよりてなほこまやかや梅の花

近寄っても梅。

流れゆく椿について陽炎へる

陽炎と一緒に。

葉桜に明るき月の見えにけり

初夏のまだすっきりした感じが気持ち良い。

いとも小さき魚釣りあげぬ若葉人

きらきら光る。

高き木へとびゆく蛍ばかりかな

高いところに集まって。

灯のもとに顔あげてゐる夜長かな

あぁ、夜が長い。

昭和7年

寒鮒の暗きに集(よ)るや桶の底

どろんとした感じ。

入口の道見えて居る茂りかな

暑そうな、ムワッとした場所。

手花火の玉ぞ怒れるごとくなる

やがて、ポロリと落ちる。

蓑虫のあたたまりゐる夕日かな

蓑虫「ふぅー」

秋蝶の驚きやすきつばさかな

秋蝶びっくり、石鼎もびっくり。

古籠やひさごの神のちよこなんと

ひさご神様。

古庭や見るものにして霜もまた

霜でも、見るか、することないし。

じゃ

今日はこんなところで。

ばーい