1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より。
包丁は先が尖っていて、なんだかそれが刺さりそうで、とっても怖い。指なんか切ったら血が出るし、なんとも恐ろしいものです。
僕が包丁を使うのは、たこ焼きの蛸を切る時と、小夏の皮を剥く時だけです。蛸を切らないとたこ焼きが食べられないし、小夏も剥かないと食べれないから。
普段何にも出来ない僕が小夏を剥いているの目撃して、妻は宇宙人でも見たかのように驚いていました。
いや、小夏はさ、好きだから剥ける。
石鼎の続きです。
昭和11年
元朝やあやまりかかる電話さへ
元朝からごめん。
嫁が君耳一杯にひろげたる
ちゅう。
星一ついとちかく見え春めく夜
一つの星が見え過ぎて。
三だんに落ちし音あり猫の恋
恋はいつでもドタバタ劇。
春の雲色かはりつつながれけり
とどまらぬ春の雲。
壁のばらにあたりしすぽんぢぼうるかな
あたったけれどすぽんぢぼうる。
梅雨の闇しづかにありて深きかな
じとじとと、静かに深し。
濃きまでに腹の白さや青蛙
観察眼というよりも、石鼎の繊細さを感じる。
水に棲んでうす桃色や鮎の口
そして焼いたら美味い。
美しき空と思ひぬ夏もまた
これ好きな句です。夏だから良い。
一皿に一きれづつのめろんかな
せめて大きな一きれを。
あんぱんを五つも食うて紅葉観る
食べ過ぎ。「も」が可笑しい。
たまにある変な句がなかなか愛しい。
じゃ
ばーい