素敵な石鼎18

1990.2 沖積舎刊行
『原石鼎全句集』より。

包丁は先が尖っていて、なんだかそれが刺さりそうで、とっても怖い。指なんか切ったら血が出るし、なんとも恐ろしいものです。

僕が包丁を使うのは、たこ焼きの蛸を切る時と、小夏の皮を剥く時だけです。蛸を切らないとたこ焼きが食べられないし、小夏も剥かないと食べれないから。

普段何にも出来ない僕が小夏を剥いているの目撃して、妻は宇宙人でも見たかのように驚いていました。

いや、小夏はさ、好きだから剥ける。

石鼎の続きです。

昭和11年

元朝やあやまりかかる電話さへ

元朝からごめん。

嫁が君耳一杯にひろげたる

ちゅう。

星一ついとちかく見え春めく夜

一つの星が見え過ぎて。

三だんに落ちし音あり猫の恋

恋はいつでもドタバタ劇。

春の雲色かはりつつながれけり

とどまらぬ春の雲。

壁のばらにあたりしすぽんぢぼうるかな

あたったけれどすぽんぢぼうる。

梅雨の闇しづかにありて深きかな

じとじとと、静かに深し。

濃きまでに腹の白さや青蛙

観察眼というよりも、石鼎の繊細さを感じる。

水に棲んでうす桃色や鮎の口

そして焼いたら美味い。

美しき空と思ひぬ夏もまた

これ好きな句です。夏だから良い。

一皿に一きれづつのめろんかな

せめて大きな一きれを。

あんぱんを五つも食うて紅葉観る

食べ過ぎ。「も」が可笑しい。

たまにある変な句がなかなか愛しい。

じゃ

ばーい