カムイーよ

2017.6.30ふらんす堂刊行
櫂未知子句集『カムイ』より

 

新宿でやっている吉田博展に行ってきました。恥ずかしながらどんな人か詳しく知らずに生きてきたのですが、すごい人なんですね、大河ドラマの主役にしても良さそうな人生です(興味があれば調べてください)。黒田清輝を殴った(らしい)男、というのもなんだかすごい宣伝文句ですね。あ、もちろん画も素晴らしかったです、スーッと気が晴れます。

芸術に必要なのは、ガッツと勇気なのかもしれません。

櫂未知子さんの句集『カムイ』を読んでいきます。

南風(みなみ)吹くカレーライスに海と陸

陸に海をかける。

水打つて旧町名を思ひ出す

味のあるのは旧名町。

水道の水をたのしむ生身魂

ひねれば出る。

吹きてなほ夜明けの色の雑煮かな

夜明けの雑煮。

卒業や見とれてしまふほどの雨

好きな句です。いつまでも記憶に残りそうな雨。

壺焼の奥には雲のやうなもの

ちょっと苦くて美味い。

村にまだ掟がすこし草清水

少しだけ、いつまでも古い。

ひとしきり猫の嗅ぎたる青写真

猫「もういいや」

火事かしらあそこも地獄なのかしら

地獄があちらこちらに。

ほどほどに忘れられたる種物屋

たまには思い出して。

既視感のあるプールなりやり過ごす

あぁ、プールね、ぐらいのプール。

一瞬にしてみな遺品雲の峰

雲の峰の力強はがかなしい。

探梅やかばんをもたぬ者同士

気の合う同士。

一読して覚えてしまう句がたくさんありました。美しい本なのでぜひ手にとってみてください。

じゃ

ばーい