『季語別川崎展宏集』(ふらんす堂、2000)
先日、村上さん家にお邪魔して花火を見てきました、屋上でビールの缶を握ったまま見る花火はなんとも最高、極楽極楽。
さて花火も見たし、という事で句会をしたり宴会をしたり、それはもう楽しい夜でした、終電近くになるとなんだか五人ほどは帰るのが面倒になってきて、男も女も関係無くみんなで雑魚寝、これまた楽し、すやすや、グーグー
・・・朝の5時である、何やら酔っ払った松田さん(仮名、女性です)が騒いでいる
松田さん「みんな起きてー、つまんなーい、アハハー」
うぅ、頭が痛い
すくっと起きて怒るKさん「うるせぇ、寝ろ」
松田さん「いや~ん、あははは」
ダミダコリャ
なだめる村上さん「ほら、歌でも歌いなさい、聞いてあげるから」
松田さんはぬらりと立ち上がり、聖子ちゃんを気持ち良さそうに歌う
朝の5時である、非常に眠い
村上さん「カーン、鐘一つだよ」
松田さん「いや~ん、ひどーい」
寝っ転がった僕とKさんが力無く笑う、
へへへ(眠い)
不屈の闘志の松田さんはまだまだ元気だ。
S姉さんは向こうで顔に布みたいなのをかけて死んだように寝ている、ぴくりとも動かない・・・。
過ぎ去ってしまうとすべて楽しい思い出です、さっ今日は何をやろうかな、部屋をごそごそしていると、ゴロンと出てきたのがふらんす堂『季語別川崎展宏集』だ、よし、今回は大好きな展宏さんの秋の俳句を読んでいこうかな。
どーもね、川崎展宏という俳人を語る時に挙がる俳句が
「大和」よりヨモツヒラサカスミレサク
桜貝大和島根のあるかぎり
等が多い気がする、それらも良いけど、僕が好きな展宏さんの俳句は少し違う、ちゃんと読むと、あまり知られていない楽しい俳句がもりもりある、さ、読んで行こう。
歳時記は秋を入れたり旅かばん
さて、どっか行こうと思うのは、春よりも秋。
栓抜が畳のうへに秋の家
秋のビールであると良いな、そしてビールは瓶で飲むとうまい
いなりずし湖に秋たちにけり
いなりずしの平仮名がとっても明るい
爆笑す君も九月の藁帽子
そうは言うけどね、君、タハハハ、何て会話が聞こえてきそう
秋のくれ皿いつぱいに茄子の絵
茄子は絵で見るとなんとも可愛い形をしている、小ぶりで色が良いのが好き
秋深き猫がゐるわといふ声も
猫がゐるわ、妙にひっかかる、ゐの字かなぁ。
座敷から月夜へ輪ゴム飛ばしけり
やるせないやい、とか言いつつ
十五夜を絵本のやうに泣きに泣く
えーん、と泣きたい、だめか28だし
後の月戦艦大和のドッグにて
展宏さんにお目にかかった事はないけれど、亡くなったのがあまりにショックで、僕は次の正月休みに一人で呉をふらふら歩きました、呉という街は、ごく普通にぷかぷかと潜水艦が浮かんでいてとても驚きました、展宏さんファンの方はぜひ一度呉をふらふらと歩いてください。
天の川水車は水をあげてこぼす
博道さんがこの句を句集に入れないと駄目だ、と仰ったエピソードが好き。
犬猫も眼をほそめてや初嵐
犬も、というところが良い。
電話かけさうになりしが露の人
友人が事故で亡くなった時等の現実感の無さはとてもはかない
かほがあるやうな花野のうへの空
にこにこしているやうな花野
大阪や秋の扇子をポケットに
かなんなー、と言いつつポケットから取り出すのです。
風の出て鶉うりますと拙き字
裕福な人は大抵字も綺麗だというのが現実で、字が汚いと何かと叱られたり蔑まれ余計な苦労をする、俳人はみんな達筆なのが僕は嫌、俳句甲子園にもルーキーズみたいな高校生が出てきたら楽しいと思う。
蟋蟀の貌の出てくるにぎりこぶし
にぎりこぶし、って見事ですよね、こぶしから~、とかこぶしかな、とかじゃ台無し。
月さすや洋梨の荷の開けられて
梨が神聖なほど綺麗
初紅葉といひて面をあげにける
ちょっとおかっぱの綺麗な黒髪の女の子が良い
鶏頭の下鶏頭を抜きし穴
ごつと、とか、引きずりの句が有名ですが、この句も良い、ごぼっという穴が見えてリアル。
これは何これは磯菊しづかな海
一句がまるで、しづかな波のようだわとか言ってみようかしらん
椎茸を売る店ばかり日が沈む
つげ義春のタッチでこの景が見たい
どうですか?初めて見た句もたくさんあったのではないですか?好きな句は増えたでしょうか?
今日は休日で、今はまだ夜の八時半ですが、すでに一人でビールは5缶、お酒は一升瓶を半分以上飲んでしまいました、楽しい俳句を読みながら好きなだけ酒を楽しむ、こんな楽しい事はないですね、では冬には展宏さんの冬の句を。
さて、明日も仕事だ
バーイ