マーノが好きなーの

川柳同人誌『MANO』八号(2002年)~十二号(2007年)の作品欄を読む

暑かったり寒かったりでこの頃とても元気がない、休みの日は部屋で横になったまま、安全地帯(好きなーの)の曲を聴きながらつげ義春の漫画(好きなーの)を読んだり、つげ忠男の漫画(好きなーの)を読んだりしている。あぁー、こんな毎日がずっとずっと続くんだろうなぁ

つげ義春の漫画の中から好きな台詞を抜いてみよう
「こんな子供を働かせてどうかしているぞお前ら」『海へ』
「手なべ下げてスチャラカホイだ」『下宿の頃』
「死ね!死ね!」『不思議な手紙』
「ぎゃくもどりだ!!」『蟻地獄』
「ああ嬉しくなっちゃった」『ヨシボーの犯罪』
「うわーっ」『夜が掴む』
「なによ絶望的になったりして」『必殺するめ固め』
「あッ痴漢だボクの妻になにをする」『必殺するめ固め』
「必殺するめ固めをお見舞いしてやる」『必殺するめ固め』

うん、なんだかちょっとやる気が出てきたぞ、あ、今日は「あれ」を読もう、送っていただいた「あれ」がすごく面白かったんだった。
というわけで今回は川柳(好きなーの)です、ありがたい事にこれまた樋口さんが送ってくださった、川柳同人誌の『MANO』です、作品、評論、随筆とぎゅっと充実しています、特に評論は、ほへーと感心させられる事が多く、こりゃ良いものいただいたなぁと大変嬉しい今日この頃です、長くなったので今日は作品をいくつか紹介させていただきます
ささ、出発!

木犀に台所道具みな光る   加藤久子

生活の喜びが「光る」によく出ている、我が家は空き缶ぐらいしか光っていない

同姓同名のあなたを好きになれません   佐藤みさ子

なんかわかりますね、自分と似た存在は愛せますけど、ほとんど一緒、以上は絶対愛せません

風呂敷で包めば足がはみだして   樋口由紀子

おかしくってちょっと不気味

薬缶口移しにいまも村八分   石部明

無頼ですね、男らしい、どこかそういう姿に憧れます

空を飛ぶときの太もも足の裏   佐藤みさ子

太もも→足の裏、と意識が移って行く様がどこか不思議で面白い

紙袋あっという間に天へゆく   樋口由紀子

ババッ!と
スピード感と力強さがよく出ている

何だって出来るたくさんお湯沸かす   加藤久子

可愛らしさと可笑しさと、なんだかちょっとだけ切ない

群がっているのは腕のようなもの   石部明

なんざんしょ?
ええ、腕のようなものです

うつぶせになり月光を耐え忍ぶ   石部明

クククッとそのまま泣きたい

つじつまがあわなくなった凄い夕焼け   加藤久子

「凄い」置場所が素晴らしい、これはかなり好きな句

笠地蔵ジャズ喫茶では笠を脱ぐ   小池正博

ジャズで気分良く揺れたりする様を想像すると楽しい

アメリカ製のごみ箱の蓋閉まらない   樋口由紀子

なるほど、川柳、この皮肉と笑いかぁ、これもかなり好きな句、力が入っていて良い

身代わりになると言い張る犬連れて   佐藤みさ子

健気だなぁ

出鱈目になるまでお湯につけておく   加藤久子

とりあえず、うーん、お湯につけておこう、いつまでか、よく知らんけど・・・

黒豆の笑いやむまで煮つづける   小池正博

とっても面白いんだけど、どこか邪悪、豆が小さい悪魔を連想させるのかなぁ

煙突を目印にして急ぐ女   樋口由紀子

樋口さんの句にはいつも力がある、「急ぐ女」の強さ

食べられぬものをひねもす焼いている   佐藤みさ子

どこか無意味で透明な感じが良いですね

琵琶湖などもってのほかと却下する   石部明

吟行に、あ、ダメ?絶対ダメ?

水没の家から洩れる笑い声   石部明

怖い怖い

目的地までぶらぶらの命かな   佐藤みさ子

良いなぁ、好きな句です、僕はこの頃こんなです

日が暮れてしまう音楽をもっと   加藤久子

まだまだ終われないぜ!

ゴム手袋嫌いなものを寄せ集め   樋口由紀子

面白い、確かにそう、日常は少しずらせばこんな風に面白く見える

満潮へ向かってパイは投げられる   小池正博

それー、それそれ! それ、アハハ
とそのあとに必ず湧いてくる虚しさと

うん、ちょっと元気が出てきたぞ、じゃあ、うん、寝よう

バーイ