京童さんをどうしょうか―4

先日の句会の打ち上げが実に盛り上がってですね

麒麟「相子さん、僕もう石屋(つげ義春の漫画にあるよ)にでもなるしかないですかねぇ」

相子さん「ダメよ、石屋になっては、石屋はダメよ~」

土肥さん「麒麟ちゃんはね、帽子屋が良いわ、うん、帽子屋やったら良いわ、麒麟柄の帽子を売るのよ、それでね、高いところに売り物があってね」

二三人で「麒麟だけに」

土肥さん「そう、麒麟だけに、俳人なら麒麟ちゃんとこの帽子かぶらないと本物じゃない、って事にすれば良いのよ、あ、でも私高いところ届かないわね」

麒麟「あはは、じゃあ真砂年さんとやります、僕があいよー、まいどー、とか言って真砂年さんがそれ背伸びして取ってくれる、なんて楽しいじゃないですか、右から三番目のやつですー、とか言って」

真砂年さん「こんなもの買うやつは気がしれねぇ、なんて言いながら取ってねぇ」

みんなノリノリでした、僕は石屋になるのか帽子屋になるのか…、でも僕は村上さんに宝くじを当てていただき、庭に住まわせていただくのが一番良いなぁ

えぇと、じゃあ、そういう事でそろそろ京童さんを読みます、だーめ!京童さんを読むの!!それー

多摩川の上水走る若葉かな

岩かげに水の音ありしゃがの花

二句ともなんともなーく、敢えて言えば「さっぱりと気持ち良い」句ですが、これは九回目の武蔵野探勝の入選句です、九回目の武蔵野探勝は京童さんにとって忘れられない一日だったはず。

さぁ、恐らく「武蔵野探勝」での京童さんの一番の見せ場を紹介しましょう、以下は引用です。

高台の上からも、たけしさんの大きな声が、
「素十君、けふでもやはり蝶々が居るかね」
とからかつて居るのがハツキリと聞える。
祠の燈明はもう消えてしまつた。〆切の時間が迫つたので、そろそろ洋館の方へと坂道を辿る。
なだらかな岡に上るや壺すみれ
虚子
「気をつけないと、其道は滑るよ」と背後から京童さんが注意しとくれる。見ると洋袴一面に赤土で汚れて居る。
「滑つたのは貴君だつたのですか」と思はず二三人と共に笑ふ。

なんとまぁ!サザエさんぐらいほのぼのとしたわかりやすいオチのある話です、なんだい転けたのは君じゃないか?ズコー(笑)、ダミダこりゃあ(決めポーズ)、あはは~、君はまったくおっちょこちょいですね(虚子先生)、ははは、面目ありません、的な、ちなみにこのあたたかな文章は若き日の草田男です。

茶を蒸せる障子の中の蠶かな

これも武蔵野探勝に載っている虚子の並選です。

先発の京童さんと越央子さんが駅に待つてゐた。「そこで茶を摘んでゐましたが昼で引揚げたところです」と京童さんが言ふ。

越央子さんも京童さんと同じく逓信省の人で、京童さんとは仲良しのはず、歳時記にたびたび出てきますよ、この人も面白い俳句を作る人です。

「武蔵野探勝」って一人に注目して読み進めて行くとその周辺も見えてくる楽し~い読み物です。

前にあつこ姉さんから日曜の朝から「武蔵野探勝」を読んでたとメールが来た時に、ネクラだなぁと思いましたが、最近考え直しました、あれは日曜の朝にふさわしい本です。

秋の田や袴つけたる奇北翁

よくわからんけど強そうな翁

僕は将来よくわからん悪い翁になりたい

俳句的若手「麒麟の爺が死なきゃ今の俳壇はどうにもならんちゃ」

麒麟翁「吹けば消える若僧さんが大勢おるようですが、ふぉふぉふぉ」

…長生きできるかな、僕。

倒れたる菊を起しぬ裏がへる

裏返った!好き、好きな俳句

裏がへるままに小菊を起しけり

起こした!好き、好きな俳句

二句とも僕の好みの俳句です、面白いでしょ?という匂いがないのが良い、どうでも良い事をすらりと詠むと、時々たまらなく愛しい句になる。

糸菊の崩れし如き盛りかな

もうすごいのよ、ほんと

艦隊の這入りたる日の菊日和

時代を感じさせます、昭和6年です、菊、艦隊、うん、時代を感じさせるんです。

暗がりに売れたる菊のよせてあり

これは売れたやつ

栗落す竿草中に横たはる

僕が好きな俳句はなんで人に伝えにくい俳句ばかりなんだろ…、

キヨ子姉さんに時々変な俳句をメールで送って喜びあう、というのがこの頃の趣味なんです、アハハと笑う句は実はまだまだだと思うんです、タハッ!と言ってしまう俳句こそ本物だと思うんです。

良いんだ、ずれててもさ…

水煙盛に上げて鴨遊ぶ

「鴨遊ぶ」の素直さを思い出したい

剥げてゐる沖の汽船は捕鯨船

荒いと言うかボロいと言うか、捕鯨船普通にあったのかなぁ、時代だなぁ

瀧涸れて人の住へる茶店かな

うんと深い珈琲が飲めそう

山ぎわの時雨ゐるなり精進湖

なんでもないけどリズムが良いのかな、時雨の雨の細い線を感じさせます、精進湖、何湖でもよかろうなんてことはない、やっぱりしっくりくるものはなぜかしっくりくる

昭和七年だよ~

寒木瓜を生けて大坂料理かな

華がないとあきまへん

新しく替へたる屋根の梅の花

嬉しくってさ、俳句詠んじゃったさ

こぼれゐる土の光も春めけり

おぉ!良い句です、良いでしょ?「こぼれゐる」が読んでやわらか、見てやわらか、うーん、春の明るさが良く出てるじゃないですかー!

いやぁ読めば読むほど京童さんが好きになりなかなかページが進みません。

「きりんのへや」ってスマホで打ってるせいか、ほとんど何も考えずに指が動くのにまかせて書いているので、僕も毎回どんな仕上がりになるか全然わかってないんです、京童さん、まだまだ続くのかなぁ、それもまた良し、みんなも京童さんが好きになりますように、それじゃ、バーイ