昭和63.2本阿弥書店発行『まつもと・かずや戦後俳句集』
古本屋を鬼の形相で廻り、『アストロ球団』の二巻と五巻を買う事ができました。少しづつ集めていくのも楽しいもんです。
この野球漫画(アストロね)は、すぐ血を流したり時に死んでしまったり、とにかく激しい。かの有名な「ジャコミニ流星打法」が出てくる漫画です。「三段ドロップ」なんてどうやれば打てるんだろう…。これに比べれば巨人の星に出てくる「殺人スライディング」なんてかわせば良いだけの気がしてきます。
これが俳句、こういうのが俳句というのを決めてしまっては寂しい、作り手としては僕の好きな俳句だけを作っていくつもりですが、読み手でいる時は面白ければなんだって読んでいきたいもんです。「ジャコミニ流星打法」もまた野球なのです。
それにしてもまつもと・かずやさん、激しい時代を駆け抜けてます、さ、読んでいきましょう。
昭和29(まつもとさんテレビ購入、第五福竜丸被爆、マグロは放射能マグロとされてすし屋閑散)
ごみ箱ばかり描く子ども土曜も日曜もない親たち
やるせねぇ
捕まらない犬に犬獲りたち貧乏町めといいすててゆく
こんな町から天才ボクサーが生まれて欲しい
昭和30(年の暮に神武景気、まつもとさん電気釜購入)
執達吏肺を病みストローでジュースちゅっちゅっすする
ちょっちゅすする←言ってみただけ
ビルも工場も電車も橋の向こうからは小さく船の子今日も船の中
よそはよそ、なんて言葉は今も言われるのかなぁ
プロレスみて出てくる男たち腕ふりまわしこぶしつくるみんなして
夢を見させておくれよ、プロレスを生で一度だけ観た事があるけど、でっかくてダサくて強くて最高でありました、あれは夢がある、スマートとは小賢しさの事じゃあないかしら。
ふなはまた冬の魚の顔をして鍋にはねているのもおばあさんの独り舞台
おばあさんの出番です
あの頃のデモは必死だったぜ資本主義が景気のよさつくったりする悲しさ
コップ酒は安くてすぐ酔って、店が汚くて、これはこれでなかなかよろしい
「ショートじゃいや」とすぐ甘ったれ財布の中みられた長い野郎になる
『青春の門』みたいな世界になってきました、長い野郎とはよくも言ったり
妻が歯ぎしるようになった共稼ぎの二人の夜
辛いからといってもとにかく生きていかないといけないもんです。たまには良い事あります、俳句をやりましょう。
まつもと・かずやさんの俳句を読んでると少し血が熱くなる気がします、ふむふむ、ではまた来週
ばーい