同行二人、恍惚と真顔

国立駅前の花壇、チューリップが見ごろ。

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チューリップ花びら外れかけてをり  波多野爽波

と思ったら、すでに外れてしまった花びらが、そのもとにひとひら。

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「俳壇」(本阿弥書店)最新号2015年5月号、「同行二人」欄という二人一組の競詠欄に、高柳と25句ずつ、合計50句寄せています。

栗咲くや塔の千年またたく間  高柳克弘(「恍惚」25句)
火も水も逃れし初音ひびきけり   〃

摘む駆ける吹く寝ころがる水温む 神野紗希(「真顔」25句)
水に映れば世界はきれい蛙跳ぶ   〃

並べてみると格調の有無が明白なり。

プール上がりし臀密集す更衣室  克弘

あたりは、いかにも男の臀。「文學界」2015年5月号の彼の小説「高きに登る」の滝行の男の姿と重なるところが。

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塀渡る猫の真顔や虹の下  紗希

のモデルが、今日もアポなし来訪。流し目でポーズを決める。

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来るのも帰るのも、塀づたい。塀にも交差点があるのだ。

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