薔薇の雨

昨日、みずみずしい句集が届いた。「椋」の藤井あかりさんの第一句集『封緘』(文学の森 2015年6月)。

まだ、封緘された言葉を一つずつひもといているところなのだが、今日の午後は、夏の項の次の句の甘やかさにうっとりしている。

呼鈴を深く押したる薔薇の雨  藤井あかり

呼鈴を深く押すのは、雨で心細いからか、薔薇の華やぎに訪う(逢いたい)人への思いが募ったのか。
軽く押そうが深く押そうが、呼鈴の音はそう変わらないと思うのだが、「深く押す」という無意識の些細な行為に、人を求める気持ちが、静かににじんでいる。

清潔な一冊。

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五月の帰省のとき、万翠荘でひらかれていた薔薇展の写真。豪華絢爛。