2016年6月11日

かんかんのきみの背後に雲の峰

20160611

むしゃくしゃしてどうしようもない気持ちになると、スーパーで200円くらいの鶏胸肉を買ってくる。大きくて安い肉ならなんでもいい。フォークでどすどす穴を開けて、クレイジーソルト(考えてみればすごい名前である)を揉み込み、熱したフライパンで豪快に焼く。おらおら、どうだ、参ったか。切ったオレンジやエリンギやアスパラガスなんかも一緒に入れて焼くとよりいい。皮目にこんがり焼き色がついたら、バルサミコ酢を回しかけて酸味を飛ばす。おらおら、いい照りじゃねえか。こうして大きな胸肉を丸のまま焼いて、丸のままお皿に乗せて、ナイフとフォークで豪快に切り分けて食べる時にはすっかり王になった気分だ。
そして王は大抵最初のふた切れを食べて満足し、結局ラップをして冷蔵庫に入れてしまう。わたしの抱く怒りや悩みなんて、所詮こんなもんなのよね、と思いながら。