2017年4月5日

花時の腐葉土ばかり踏むふたり

はじめての俳句仲間である友と「吟行」をした。吟行とは何かについては本で得た知識しかなく、ただ野山を歩いて句を作るというくらいの考えしかなかった。
近くにある信貴山に二人で登りながら句を作ってみようということになり、土曜の午後、待ち合わせて出かけた。ほとんど人通りのない山道を二人で歩き、時折句を作ったり、水筒のお茶を飲んだりした。山頂までは登らず、朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)に詣でたのちバスで山を降りた。
どんな句を作りどんな会話をしたものか今となっては記憶も記録もない。ただ、帰宅した時刻が意外に早くて外は明るく、大旅行をしてきたような気分にもかかわらず、土曜日がたっぷり残っていることに、とても幸福な気持ちになったことを記憶している。
俳句仲間であった友はいつの間にかバンド仲間の一人になり、一緒に句作することはなくなってしまった。