2017年11月3日

石鹸玉ほどの宇宙を哀します

1957 年 11 月 3 日、ソ連の宇宙船スプートニク 2 号が打ち上げられた。宇宙船には一匹の雌犬が乗せられた。彼 女の名前はライカ(当時はクドリャフカとも呼ばれた)。彼女を乗せた宇宙船は、月や人工衛星のように地球の周囲を周回する軌道、地球周回軌道に到達した。これにより彼女は初の地球周回軌道に到達した犬として歴史に名 を刻むこととなった。

スペースシャトルの猿の意識や石鹸玉 関悦史『花咲く機械状独身者たちの活造り』

今日までに犬だけでなく、猿やカエル、魚や虫等人間以外の様々な動物が宇宙へ行っている。それから数十年、 民間人も宇宙へ行ける時代になったが、その費用は数千万円。残念ながら私にはとても出せる額ではない。

月といふのですか、巨きな石ですね。 御中虫『俳句空間―豈 53 号』

宇宙は我々が想像するよりもはるかに巨きく、広い。広がり続けているとも言われている。それに比べれば人間 や地球なんてものはちっぽけだ。だから、私は宇宙が好きだ。

日夜、我々はその宇宙の中の小さな地球の上で悩んだり苦しんだり争ったりしている。なかなか解決しない問題
の方が多いように思う。そうした諸々の問題を、いつか宇宙の向こうから誰かが眺めて「なんでそんなことを問 題にしているの?」と笑い飛ばしてくれるような時代が来ないだろうかと思っている。

ぶらんこに包帯きみの痛みに巻く 木田智美「現実逃避にすぎないけれど」

当時は地球周回軌道から帰還させる技術はなかったため、ライカは地球に帰還することはなかった。打ち上げ後 の宇宙船の中で彼女はどうしていたのか、彼女の本当の死因は何だったのかはわかっていない。 1958 年 4 月 14 日、スプートニク 2 号は大気圏に突入し燃え尽きた。ライカは春の星となっただろうか。